押し寄せる観光客、住民と切り離し ベネチアが新規制導入
(CNN) イタリア有数の観光地ベネチアは、観光客が押し寄せてインフラに負担がかかり続ける事態への対策として、住民と観光客を引き離す措置に乗り出した。
4月28日~5月1日にかけての大型連休に向け、観光客の移動を規制し、一部車両の市内への乗り入れを禁止する新たな措置を導入する。
ベネチアは観光客が詰めかける事態に対応するため、この数年で、クルーズ船の禁止や入場者数の制限といった措置を相次いで導入してきた。
ベネチアのルイジ・ブルニャーロ市長は今回の規制について、「公衆の安全と治安、生活可能性を守るための緊急対策」と強調している。
発表によると、観光客を地元住民から引き離すため、歩行者や水上交通に対する一時的な規制を導入。人気観光名所へと流れる観光客を誘導するとともに、一部地域は住民や常連の訪問者以外の立ち入りを禁止する。
遊覧船の乗者は、普段使われている場所ではなく、特設の施設で下船させる。
車両は市内の駐車場を事前に予約しておかない限り、市内に乗り入れることはできない。
ベネチアの住民は約5万人と、18世紀に比べると3分の1に減った。これに対して年間の観光客は3000万人に上る。
観光客の激増で運河や歴史的建造物への負担が懸念されるほか、民泊の増加で住民が締め出され、街が博物館と化すことを懸念する声もある。
ブルニャーロ市長は今回の規制について、観光管理のための実験的措置と位置付けており、観光客が増える夏の週末などに、こうした規制が恒例となる可能性もある。