ロシア軍事費、20年ぶりに減少 経済的苦境が影響
ロンドン(CNNMoney) 軍備管理研究などの団体「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」は6日までに、ロシアの昨年の国防費は3・9兆ルーブル(約6兆6300億円)と2016年比で17%減少したと報告した。
通年の国防費が縮小したのは1998年以降では初めて。ロシアは2025年までの軍備近代化を目指し近年は国防費上積みを続けており、昨年は一転して切り詰める展開となった。
SIPRIの上席研究員によると、軍備更新は依然、優先的な国策となっているが経済情勢が国防費支出の水準を支え切れなくなっている。主要な外貨獲得源である原油価格の低迷やウクライナ危機などが絡む欧米諸国による経済制裁などを受け国内経済は苦境をいまだに脱し切れていない。
昨年の国防費はインフレ率や為替変動率を考慮した場合、20%減を記録。国内総生産(GDP)比では4・3%で、16年の5・5%、15年の4・9%を下回った。
ただ、同国のプーチン大統領は軍備装備品における成果を強調している。大統領に再選される前の今年3月には、新たな小型無人飛行機(ドローン)や北大西洋条約機構(NATO)の防衛網を無力化するとした射程距離に制限がない核兵器の開発などに言及していた。
SIPRIの上席研究員は他の多くの軍備開発事業も棚上げもしくは取り消されたと指摘した。
SIPRIによると、ロシアの軍事的脅威への警戒感が高まる中欧諸国の軍事費は昨年、12%増加した。
また、昨年のデータによるとロシアにとって代わりサウジアラビアが国防支出費は世界3位に浮上。米国が1位、中国が2位となった。