国民に出産の奨励、一人っ子政策で人口問題顕在化 中国
(CNN) 一人っ子政策が撤廃された中国で、今度は国民に対し、子どもの数を増やすよう呼びかける声が強まっている。
中国共産党機関紙の人民日報はこのほど、「出産は家族の問題であると同時に国家の問題でもある」との論説を掲載し、「出生率の低さが経済や社会に及ぼす影響が表れ始めている」と警告した。
中国政府が先に発表した新しい郵便切手は、子どもの数に関して残る規制が撤廃される可能性をうかがわせる。
来年の亥(い)年を前に政府が発行した切手には、両親と子ども3匹の姿が描かれている。2016年の申(さる)年の記念切手には2匹の子ザルが登場し、一人っ子政策撤廃の証しとみなされた。
来年の亥年の切手
一人っ子政策がもたらした人口構造問題は鮮明化し始めている。労働人口は縮小し、高齢者向けの支援制度が整わない中で、若い世代の多くが夫婦それぞれの両親と祖父母を支えている。
1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す出生率は2017年の統計で1.6人と、人口を維持するために必要と推定される2.1人を大きく下回った。
人民日報の論説では、「特に都市部では、子どもを持つことのコストは上昇の一途にある。出産から学校に至るまで、経済的コストや時間的コストが増大している」「都市に住む若者の多くは子どもを持ちたがらない」と指摘。子どもを増やすためには政府が教育や医療を提供するなどの奨励策を打ち出す必要があると訴えた。
この論説は中国の大手SNS、新浪微博(ウェイボー)でも注目を集めた。論説の内容を支持し、子どもを増やしたい夫婦のための支援策を政府に求める投稿が目立っている。