豪州に上陸の難民、ワニが住む森に潜伏か 警察が捜索
(CNN) オーストラリアの警察が、ベトナムからの難民とみられる十数人の行方を捜索している。難民らは北東部クイーンズランド州沿岸で座礁した船を乗り捨てて上陸。一部は拘束されたものの、残りはワニが多く生息している熱帯雨林に身を潜めていると考えられている。
オーストラリアのダットン内相は27日、およそ1400日ぶりとなる同国への密入国者の存在を確認した。現在、行方不明となっている難民らの捜索が行われているという。
クイーンズランド州ポートダグラス付近に上陸したとみられる難民のうち、15人前後は国境警備隊によって拘束された。しかし難民申請を希望する同程度の人数が、熱帯雨林地帯に逃げ込んでいるとみられる。この一帯はマングローブがうっそうと生い茂るジャングルで、イリエワニが数多く生息していることで知られる。
オーストラリアは紛争や貧困、政治的な抑圧に苦しむアジア諸国の人々にとって、魅力的な渡航先であり続けている。ただ政府は2013年以降、一切の難民船を受け入れないとする厳格な移民政策を掲げ、国境警備に巨額の費用を投じてきた。このほど新首相に就任したモリソン氏も、移民相時代から警備の厳格化を積極的に進めてきた人物だ。
昨年公表された議会の調査報告書によると、船でオーストラリア本土へやってくる難民の数はピークだった13年の2万587人からゼロに激減したという。
実際のところ政府は12年以降、本土へ向かう難民船を停止させて、船内の難民をナウルやパプアニューギニアに設けた施設に収容するという対策を実施している。
今回難民らが本土に漂着したことは、これまでの取り組みにとっての大きな失敗を意味するともいえそうだ。