難民乗せたゴムボート転覆、100人死亡 生存者はリビアで拘束
(CNN) アフリカ北部リビア沖で9月初旬、難民や移民を乗せたボートが転覆し、100人以上が死亡した。生存者はリビアで拘束されているという。国際医療支援団体、国境なき医師団(MSF)が明らかにした。
同団体によると、1日にリビアを出航したゴムボート2隻には、スーダンやマリ、ナイジェリア、カメルーン、ガーナ、リビア、アルジェリア、エジプトからの移民や難民が乗船していた。しかし大人165人と子ども20人を乗せたボートの空気が抜けて転覆し、大勢の死者が出た。
リビア沿岸警備隊は、救助された276人を港湾都市フムスに運び、国境なき医師団が応急手当てをした。遺体は2体しか回収されなかったと伝えられている。
生存者の1人は、「人が海に転落し始めたので、イタリア沿岸警備隊に救助を求めた」「誰かを派遣すると言われたが、ボートが沈み始めた。私たちは泳ぐことができず、ライフジャケットを持っていたのは数人だけだった。ボートの浮かんでいる部分にしがみついていた私たちだけが助かった。あとから(欧州の)救助隊が来て空から救命ボートを投げたが、全員が水の中にいて、ボートは既に沈んでいた」と話している。
後にリビアの救助隊も到着したが、救助したのは55人のみだった。
生存者の中には、流出したエンジン燃料に接触してやけどを負った人もいるという。
生存者はリビアの拘置施設に移送され、MSFが治療に当たっている。中には妊婦や乳幼児もいて、重傷者も含まれることから、安全が懸念される状況だとして、MSFの看護師らは危機感を募らせている。