中国、台湾の「スパイ行為」を非難 「学生にハニートラップ」と国営メディア
北京(CNN) 中国の国営メディアは19日までに、台湾の情報当局が中国本土からの交換留学生を金銭やハニートラップでそそのかし、スパイ活動を行わせていると非難した。本土にスパイを潜伏させ、さまざまな活動を妨害する取り組みの一環としている。台湾側はこれを事実に反するとしたうえで、中台双方が不信感を募らせることになると中国メディアを牽制(けんせい)した。
CCTV(中国中央電視台)は、台湾の工作員が金銭や愛情による誘惑といった手段を駆使して中国本土で活動するスパイを集めていると報道。「スパイ行為のために学生を利用するのは極めて悪質だ」と非難した。中国の国営メディアはこの他にも、台湾当局が諜報(ちょうほう)活動を行っているとするキャンペーンを広範に展開している。
国営の英字紙チャイナ・デイリーが報じたところによれば、台湾で勉強している18歳の中国からの交換留学生が台湾の工作員と性的関係を持った後で情報提供者に転じたという。この学生は「3年間にわたって、国防に関わる科学技術系の情報およそ100点を提供し、4万5000元ほどの支払いも受けていた」とみられている。
台湾政府はこうした報道について、事実と異なると強く反論。台中両政府の間に「一段の疑念と誤解」を生じさせるとの見解を示した。中国本土に関する業務全般を担当する行政院の大陸委員会は声明を出し、自国の学生を台湾へ留学させまいとする中国政府の試みだと非難した。
台湾との関係をめぐっては、中国の有力国際紙、環球時報もこのほど社説で現状への危機感を表明。「本土は最悪の事態に備えなくてはならない」と警鐘を鳴らしていた。