メイ英首相、EU側に「敬意」を要求 英離脱案の拒否受け
ロンドン(CNN) オーストリアのザルツブルクで開かれた欧州連合(EU)首脳会合で英国側のEU離脱案の大半が拒否されたことを受け、メイ英首相は21日、交渉が「こう着状態」にあるとの認識を示すとともに、EU側に対して英国の立場と国民投票の結果に「敬意」を払うよう求めた。
メイ氏は首相官邸で発表した声明の中で、自身の案に反対する点を明確に示すか、代替案を策定するようEU側に要求。「交渉の過程を通じ、私は敬意をもってEUに対応してきた」とした上で、英国としても同様の敬意を求める考えを示した。
英政府は当初、10月の正式会議を前に、ザルツブルクでの非公式首脳会合で主要課題解決への道筋を付けることを望んでいた。しかし他のEU加盟国の首脳は、メイ氏の提案に対して予想外の強い反対を示した。
EUのトゥスク大統領はザルツブルクでの会合で、7月に英首相別邸で合意に至った離脱案の主要部分について、現在の形では「うまくいかないだろう」と指摘。さらにフランスのマクロン大統領は、EU離脱のプロジェクト全体が「うそつき」によって英国民に売り込まれたものだとの考えを示した。
一方、メイ氏は今回の声明で強気の姿勢を崩さず、ボールは欧州側にあると主張。「交渉が佳境に入ったこの時点で、詳細な説明も対案も示さず、単に相手の提案を拒否するだけの姿勢は受け入れがたい」と述べた。
メイ首相はEU側に交渉に応じるように要求/Sean Gallup/Getty Images
メイ氏はトゥスク氏に対して特に批判的に言及。英側の提案はEUの単一市場を崩壊させるものだとトゥスク氏が述べたことに触れ、「彼が詳細な説明も対案も一切示さなかったために我々はこう着状態に陥っている」とした。
EU側は英国が都合よく単一市場の要素だけ選び取り、他の部分を捨てようとしていると批判を続けている。
主要な問題となっているのは、北アイルランドとアイルランドの国境問題だ。和平を実現した1998年のベルファスト合意で取り除かれた国境の壁の再建を、北アイルランド、アイルランドとも望んでいない。英側はモノやサービスに関する共通ルールを策定して税関を不要とする案を提案している。