英、EU離脱担当相が辞任 メイ首相との溝埋まらず
(CNN) 英国の欧州連合(EU)からの離脱プロセスを統括するデービスEU離脱担当相が8日、辞任を表明した。メイ首相との間に和解不可能な相違点があったためとしている。
メイ首相に提出した辞表の中でデービス氏は、「EUの関税同盟と単一市場からの離脱」を掲げた政府の公約について、保守党主導の現政権では実現する可能性が「少なくなる一方」との見方を示した。
メイ首相は6日、閣僚との間で「企業に配慮した」離脱プロセスを採用することで合意していた。その内容はEUとの間で物品の自由貿易を維持し、製造業各社が最も懸念する関税などの導入を回避するというもの。
メイ氏は合意を受けて声明を出し、その中身について近くEUに提案する意向を示した。英国は2019年3月にEUから正式に離脱する予定。
メイ首相はデービス氏が政権を退く決断をしたことに遺憾の意を表明した。そのうえで「スムーズで実り多い離脱の実現に向け、すでに大きく前進したタイミングでの辞任だった」と述べた。
野党・労働党のコービン党首はツイッターで、デービス氏が「これほど重要な時期に辞任するのは、メイ首相が求心力を失い、EU離脱が実現不可能になっている状況を示す」と指摘。「政府は混乱に陥っている。このまま首相の座にしがみつくとすれば、メイ氏の関心が英国民への奉仕より自らの保身に傾いていることは明らかだ」と語った。