フィリピン警察、ドゥテルテ大統領批判の上院議員を逮捕
(CNN) フィリピンのドゥテルテ大統領批判で知られるアントニオ・トリリャネス上院議員が25日、反逆容疑で警察に逮捕された。
トリリャネス議員は10年以上前のクーデター未遂事件に関連してドゥテルテ大統領に恩赦を取り消され、首都マニラの上院議会に閉じこもっていた。
CNNフィリピンの報道によると、トリリャネス議員は、「逮捕状があれば、どれほど不当な逮捕であろうと従う」と話している。
逮捕状は、恩赦の有効性を巡って最高裁がトリリャネス議員の訴えを退けたことを受け、マニラの裁判所が発行した。
ドゥテルテ大統領は8月下旬に全国紙に掲載した広告で、トリリャネス議員が「恩赦を申請せず、自身の罪を認めることを拒んだ」という理由で、恩赦が撤回されたと発表していた。
逮捕が差し迫ったと判断したトリリャネス議員は、不逮捕特権が適用される上院議会にとどまっていた。
保釈金は20万ペソ(約40万円)に設定され、同議員はフィリピンからの出国を禁止された。
国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは今回の逮捕について、「ドゥテルテ政権を批判する者に対する迫害の一環であり、大統領の残忍な『麻薬戦争』にあえて異議を唱えた人たちが容赦なく沈黙させられている」と指摘。「トリリャネス議員の逮捕は、ドゥテルテ政権を批判する人たちに萎縮効果を生じさせる」と懸念している。
トリリャネス議員は長年にわたってドゥテルテ大統領と敵対し、大統領が進める麻薬戦争で司法外殺人にかかわったとされる警察トップを追及。ドゥテルテ大統領がダバオ市長だった当時に組織したとされる殺人部隊の元メンバーにも証言を働きかけていた。