ノルウェーの軍艦がほぼ沈没、石油タンカーと衝突
(CNN) ノルウェー軍は18日までに、西部ベルゲン近くのフィヨルドで同国海軍のフリゲート艦が石油タンカーと衝突して右舷に大きな穴が開き、ほぼ完全な水没状態にあると報告した。
乗組員137人のうち8人が負傷。マルタ船籍のタンカーに大きな損害はなかった。
今月8日未明の衝突後、フリゲート艦「ヘルゲ・イングスタッド」(約5500トン)は沈没回避のため意図的に水面下の岩に座礁させる措置を講じていた。その後、船体をつなぎとめるケーブルが切れ、徐々に沈没したという。
現在は艦橋、アンテナやレーダーのみが水面上に突き出る形となっている。地元メディアは、戦闘用に設計された艦船が速度の遅いタンカーをかわせなかった原因に注目している。タンカー「ソラTS」の重さは約15万トンで、全長約250メートルだった。
同フリゲート艦はノルウェー海軍が保有する5隻のうちの1隻。北大西洋条約機構(NATO)指揮下にあり、フィヨルド内部での航行訓練中に事故を起こした。
ノルウェー海軍の報道担当者はCNNに、警察が沈没原因を調べていると述べた。使われたケーブルの強度を疑問視する見方もある。また、喫水線近くもしくはその下の船体に大きな損傷を受け、浸水が急速に進んだとの指摘もある。
ノルウェー海軍はヘルゲ・イングスタッドの引き揚げ方法を検討している。ただ、引き揚げ費用や修理費などは数億ドル相当を要し、新たな1隻の建造費に匹敵するとの声もある。
事故に伴い少量のディーゼル油やヘリコプター用燃料1万リットルがフリゲート艦から漏れた大部分を回収したという。石油ターミナル基地を出港したタンカーは約1億リットルの石油を積んでいた。