中国の公務員はなぜウイグル族の家庭を喜んで占拠するのか
国営メディアの報道は、こうした家庭訪問のシステムについて「民族の統一性を強化」するものだと説明。共産党員とウイグル族が一緒に笑顔でポーズを取っている写真も添えられていた。
今年4月に新疆を訪れた際、私はこうした漢族の公務員に数多く出会い、自分たちの仕事とそれに関する見解を聞いた。
調査の結果、「親戚」には2つの主要任務が与えられていることが分かった。1つ目は事実確認で、宗教的・民族的ナショナリズムの考えを持っているかを見破る役割だ。また、収容された家族に対してウイグル人が抱く愛情の把握も任務に含まれている。
カシュガル地区の「親戚」が使うマニュアルでは、敏感な問題についてはウイグル族の子どもに聞くよう推奨している。「子どもは真実を語る」ためだ。この過程で得た情報は治安関係のデジタルシステムに入力され、当局上層部がキャンプに送り込む対象者を決定する。
「親戚」にとっての2つ目の優先課題は、ウイグル族に対する「温かみを示す」ことだ。
米軍が「テロとの戦い」の最初の10年でアフガニスタン人やイラク人の「心をつかむ」ことを試みたのと同様、このアプローチの主眼は、ウイグル族の境遇に共感を示し、生活向上につながる質問をすることにある。
もちろん、心のケアに不明者や拘束者への共感は含まれない。カシュガル地区のマニュアルでは、こうした共感をしないように警告。ウイグル族の家庭に共感して「洗脳」されることのないように注意を促している。