中国の公務員はなぜウイグル族の家庭を喜んで占拠するのか
私が話を聞いた公務員の大半にとって、自分たちが生活や家族を破壊しているウイグル族の立場になって考えることは難しいようだった。彼らの言う「新疆問題」の解決策を探るうえで、この種の暴力的父権主義が必須だと捉えていたのである。
中華民族国家というプロジェクトを推進するためには、ウイグル族の生活を支配することが唯一の方法だと多くの人が考えていた。
英国人作家のジョージ・オーウェルによれば、支配の必要性を信じ込んだとき、人は他人から敬意がないことに敏感になる。支配は好意的に受け止められなければならない。そのような国では、「行為の良し悪しは、それ自体の評価ではなく、誰がその行為をしたのかで判断されるようになる」。
このような状況下では、裁判を経ない収容や子どもの移送、マイノリティー(少数派)の家庭の占拠といった行為も、正常で必要なことと見なされる。
ウイグル族の再教育にかかわる漢族市民の多く、特に最近新疆に来た人は、宗教色のない漢族ナショナリズムの構築に自分たちは参加しているのだと語る。こうした動機に加え、中国指導層による全体主義的な統制もあいまって、収容キャンプの倫理性について尋ねるのは一層難しいものとなった。
最終的には、この痛ましくも凡庸なプロセスがウイグル族やカザフ族の利益になる――。彼らとしては、そういう言い方のほうがしやすいようだった。このプロセスを通じ、新疆が漢族にとって世俗的で安全に場所になるということだろう。