カナダの憎悪犯罪、47%増 過去10年で最大の伸び
(CNN) カナダ統計局は2日までに、国内でのヘイトクライム(憎悪犯罪)の発生が昨年、47%増の2073件に達し、10年前の統計開始後、最大の伸び幅を記録したと報告した。
2016年は1409件。増加は4年連続だが17年ほどの伸び率はなかったとしている。
オンタリオ、ケベック両州でヘイトクライムの届け出件数が増えたことや、器物損壊や落書きなど凶悪でない犯罪の報告増加が主因。ただ、暴力性の強いヘイトクライムは全体の中で44%から38%に減っていた。
統計局の報道担当者は被害報告を促す警察の努力が昨年の件数急増につながったと見ている。一方、同国のイスラム教徒の全国協議会は統計局の数字は、報復行為を恐れたり被害報告が信用されないといった側面もあり、あくまで氷山の一角と説明した。
警察に昨年報告されたヘイトクライムのうち、43%は人種や民族問題に絡み、41%は宗教的な憎悪、10%は性的指向に関連していた。犯行の標的の大半はイスラム教徒、ユダヤ人やアフリカ系(黒人)の住民だった。イスラム教徒の被害は報告された分だけで349件で倍以上となっていた。
カナダ統計局によると、14年の公共治安に関する一般調査によると憎悪に根差す犯罪などの被害を報告した全住民のうち3分の2は警察に届けていなかった。
ケベック州のモスク(イスラム教礼拝所)では今年1月、銃撃事件が発生。この後にイスラム教徒へのヘイトクラム被害の報告が急増してもいた。同州で2月中に報告されたヘイトクライムの25%を占めていた。
米連邦捜査局(FBI)は以前の調査で、米国内における昨年のヘイトクライム件数は約17%増えたと報告していた。