米連邦裁、北朝鮮に550億円の賠償命令 拘束学生死亡で
ワシントン(CNN) 北朝鮮で拘束された末、帰国後に死亡した米国人学生、オットー・ワームビアさんの遺族が北朝鮮に損害賠償を求めていた裁判で、米連邦地裁は24日、北朝鮮側に約5億ドル(約550億円)の支払いを命じた。
判事は北朝鮮が「全体主義国家の人質」としてワームビアさんを利用したと述べ、拷問などの残忍行為があったことを認めた。
ワームビアさんの両親は「米国に公正で開けた司法制度があり、息子の死は北朝鮮に法的、道義的責任があることを世界に示すことができて感謝している」との声明を発表した。
ワームビアさんは2016年にツアーで北朝鮮を訪れた際に拘束され、滞在先のホテルから政治標語の掲示物を盗もうとしたとして労働教化刑を言い渡された。1年半近く収監された末に解放され、意識不明の状態で帰国したが、数日後に死亡。両親は今年4月に北朝鮮を相手取り、損害賠償訴訟を起こしていた。
裁判は北朝鮮が欠席したまま進められた。賠償金は米国内で凍結されている北朝鮮の資産から支払われる見通しだが、米財務省が報告している昨年時点の凍結資産は総額約6300万ドルにすぎない。
ただし、過去にテロ被害者らが外国に損害賠償を求めた訴訟を手掛けてきた弁護士によると、こうした訴訟は賠償金自体ではなく、同じような行為が再発しないよう抑止効果を得ることに意味があると考えられている。