メイ英首相、離脱協定めぐりEUと再交渉へ EU側は拒否の構え
ロンドン(CNN) 英国のメイ首相は29日、欧州連合(EU)との間でいったん合意した離脱協定案の修正に向け、EU側と再交渉する方針を示した。英下院で同日、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境管理をめぐる条項の修正を求める案が可決されたことを受けて表明した。
下院では、条項修正に向けた再交渉を求める案が賛成317、反対301で可決された。
下院ではまた、EUからの「合意なき離脱」は拒否するとの文言を含む修正案も賛成318、反対310で可決された。ただしこの案に法的拘束力はなく、合意なき離脱を阻止するための具体的な計画も示されていない。
メイ氏が昨年11月、EUとの間で合意した離脱協定案には、北アイルランドとアイルランドの国境に物理的な管理施設が復活しないよう保証するための「バックストップ」条項が盛り込まれていた。
同条項では2020年末までの移行期間中にEUとの通商交渉がまとまらない場合、非常措置として事実上、英国全体をEUの関税同盟に残すことが定められた。これに対し、与党・保守党内の離脱強硬派が強い反発を示してきた。協定案は今月、下院で採決にかけられ、大差で否決された。
メイ氏はこれまで、EUとの離脱協定は最終決定だとの立場を貫いてきたが、29日の採決に先立ち、再交渉の提案を支持すると表明していた。バックストップ条項の修正を条件に、議会から協定への賛同を得ることができるとの見通しからだ。
同氏は採決の直後、EUとの再交渉を始めると表明した。再交渉は難航するだろうと認めたうえで「半月前とは違い、下院は離脱協定を受け入れるための要求を明確にした」と述べた。
だがこれに対し、EU側は再交渉に応じない態度を改めて表明している。