アサド政権に化学兵器使用の新たな疑惑、米が警告
(CNN) 米国務省は23日までに、内戦下にあるシリアのアサド政権が反体制派の最後の大規模拠点となっている北西部でここ数日内に化学兵器を使用した疑いがあるとして状況を注視し続けているとの声明を発表した。
北西部でのシリア軍の動向を注意深く見守っているともし、アサド政権が化学兵器を使えば米国や同盟国は即座にかつ適切な方法で対処するとの警告を繰り返すとも強調した。
同省のオータガス報道官は21日の声明で、アサド政権は5月19日朝、北西部で塩素ガスを含む化学兵器攻撃を新たに仕掛けた可能性があるとした。
一方、シリア軍を支援して軍事介入しているロシア国防省は21日の声明で、「米の諜報(ちょうほう)担当将校の指導で(シリアの)ラッカで訓練を受けてきた専門家」を含む反体制派は、北西部イドリブ県でシリア政権を陥れるため実行主体を紛らわした化学兵器攻撃を計画していると非難した。
これに対しオータガス報道官は、実行した事実を他の者の責任に転嫁するため続けているアサド政権とロシアによる情報操作の一環と反論した。
シリア内戦では過去にもアサド政権による化学兵器使用が起き、トランプ米政権は2017、18両年、政権の拠点に報復空爆を加えていた。
イドリブ県には現在、数千人規模の反体制派の武装組織がとどまっており、ここ数日攻勢を強める政権軍やロシア軍の空爆に抵抗している。米政府当局者は、国際テロ組織アルカイダなど過激派とつながりがある反体制派も多いと認識する一方、県内には多数の民間人もいることからアサド政権の大規模攻撃が始まった場合、人道的な危機が起きるとの危惧を強くしている。