汚職追及の記者に対する起訴取り下げ、抗議受け異例の対応 ロシア
(CNN) ロシア内相は11日、調査報道で知られる記者が麻薬関連の容疑で逮捕された事件について、証拠不十分を理由に起訴を取り下げると発表した。ロシア政府としては異例の措置。同記者の逮捕に対して巻き起こった強い抗議の声に不意を突かれた格好だった。
起訴が取り下げられたのは、独立系ニュースサイト「メドゥーザ」のイワン・ゴルノフ記者。ウラジーミル・コロコリツェフ内相は、証拠不十分を理由に起訴を取り下げると発表し、ゴルノフ記者は自宅軟禁を解かれた。
ゴルノフ記者はモスクワで6日、麻薬関連の容疑で逮捕された。これに対して支持者から、容疑はでっち上げだとして抗議の声が巻き起こっていた。
ゴルノフ記者を逮捕した警官2人は停職となり、コロコリツェフ内相は内務省高官2人の免職を求めるとした。
ロシア当局が今回のような形で態度を翻すのは極めて異例だった。ゴルノフ記者は当局者の汚職に関する調査報道で知られる。麻薬関連容疑での逮捕に対しては、野党だけでなく与党や国営メディア関係者に至るまで、党派を超えて同記者を支持する声が強まっていた。
ロシアの主要3紙が「私/我々はイワン・ゴルノフだ」と1面をそろえて訴えた/ALEXANDER ZEMLIANICHENKO/AP
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、起訴取り下げのニュースについて「最高の日になった。涙が出る。幸せ」とコメントした。
ただ、起訴を取り下げたロシア政府の狙いについては憶測も飛び交う。プーチン大統領は来週、毎年恒例のテレビ演説を行う予定。事件をでっち上げた警察を処分することにより、プーチン大統領は汚職警官と対比させて自分の有能ぶりを見せつける狙いがあるのではないかとの見方もある。