WHO、エボラ流行で緊急事態を宣言 「国際的な懸念」
(CNN) 世界保健機関(WHO)は17日、アフリカ中部コンゴ民主共和国(DRC)のエボラ出血熱流行について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
WHOのテドロス・アダノム事務局長は同日の記者会見で、「エボラがDRCおよび同地域で拡大するリスクは非常に高い。同地域の外に拡散するリスクは依然として低い」との認識を示し、「今こそ国際社会がDRCの国民と団結して立ち上がるべき時だ」と訴えた。
国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態は「異常事態」と定義され、疾病の国際的拡大によって他国に公衆の保健上の危険をもたらす恐れがあり、緊急に国際的対策の調整が必要と認められる場合にWHOが宣言する。
WHOの国際委員会は同日、スイス・ジュネーブの本部で緊急会合を開き、コンゴのエボラ流行が国際的に懸念される事態に該当するかどうかを協議した。
今回の宣言では、渡航規制や貿易規制までは勧告せず、影響を受ける各国に対して啓発活動や検査といった対策に引き続き力を入れるよう促すにとどめた。
今回のエボラ流行は昨年夏に始まり、コンゴ保健省は同年8月1日、北キブ州でエボラの流行を宣言していた。
WHOによると、15日までに報告された症例は合計で2512例、死者は1676人に上る。
14日には隣国ルワンダとの国境沿いにある交通要所の大都市ゴマで初の症例が確認され、15日に国連が高官級協議を開いて対応を協議していた。
エボラが流行している地域では、武装集団などによる襲撃が相次ぎ、感染拡大を防止する対策が難しい状況が続く。WHOによると、医療関係者や患者が襲撃される事件は1月以来、198件に上り、7人が死亡、58人が負傷している。