豪政府、中国に母子の出国許可要請 新疆を離れられず
香港(CNN) オーストラリア政府は18日までに、中国に対し、2017年から新疆ウイグル自治区を離れられない状況となっている母子の出国を認めるよう要請した。
オーストラリアは11日、新疆のイスラム教徒の処遇をめぐり中国を非難する共同書簡に署名していた。専門家の推計によれば、新疆の再教育施設には最大200万人が収容されている。
施設内での虐待を告発する声も多い。一方、中国側は拷問や政治的洗脳を全否定し、テロやイスラム過激派と闘うための「職業教育センター」だとしている。
母子の解放を求めているのは、オーストラリア国籍の父親サダム・アブドゥサラムさん。妻のナディラさんは2018年4月に当局から旅券を押収され、中国出国が不可能な状況だ。アブドゥサラムさんは8月で2歳になる息子を抱いたことがない。
オーストラリアのペイン外相は17日の声明で、母子の出国を認めるよう在北京大使館を通じ正式に要請したと説明した。外務省として引き続き家族を支援していくという。
一方、中国外務省の報道官は同日、オーストラリア政府の声明をまだ確認していないとしつつ、詳細の説明があれば今まで通り必要な支援を提供すると述べた。
アブドゥサラムさんとナディラさんは新疆育ちで、同地で出会った。2人ともイスラム教徒が多数派を占めるウイグル族。
ナディラさんは17年、新疆の区都ウルムチに住む家族の元で出産することを希望した。アブドゥサラムさんが合流しようとしたところ、ビザ(査証)取得は難しい状況だった。さらに当局による摘発も始まり、渡航は危険すぎると判断したという。