ケニアの郡知事、議員の葬儀で故人の不倫暴露 「残された息子のため」
ケニア・ナイロビ(CNN) アフリカ東部ケニアの郡知事がこのほど、友人である国会議員の葬儀の席でのあいさつで、故人が妻以外の女性と不倫関係にあったことを暴露する出来事があった。故人のプライバシーの観点から批判の声が上がる一方、郡知事は議員と女性との間に生まれた息子のことを考えての行動だったと説明している。
ケニア・ナイロビ郡のマイク・ソンコ郡知事(44)は、がんのため41歳で亡くなった友人の国会議員の葬儀に参列。告別のあいさつで、故人が郡議会議員の女性との間に男の子をもうけていたことを明らかにした。葬儀の模様は地元のテレビ局が放送した。
参列者の中には故人の妻もいた。夫妻に子どもはいなかった。
故人のプライバシーに関することを公共の電波に乗せて発言したソンコ郡知事の行動は、世論を二分した。一部の政治家からは批判の声が上がり、ソーシャルメディアにも、郡知事に秘密を打ち明けてはいけないなどと冗談交じりに警告する投稿が見られた。
しかしソンコ氏は、自らの発言について、亡き議員の息子のためだと強調。「息子のことを忘れてはならない。彼にもまた愛する父親を見送りたいという思いがあり、葬儀に参列する権利がある」とし、議員の遺族らは息子が法的な保護を受け、その立場を法律上認められるようにするべきだとの見解を示した。
ソンコ氏の言葉は、ケニアが抱える深刻な問題を反映したものだ。同国では父親から一切の支援を得ないまま生活する子どもが多い。2014年の統計によれば、ケニアの子どものほぼ半数は実の両親がそろった家庭で生活しておらず、子どもたちの22%は父親が存命でも母親1人の手で育てられていた。
男性が自ら妊娠させた女性や生まれてくる子どもへの責任を取らない現状を改善するべく、ソンコ氏はホットラインを開設。政治家やビジネスマンとの交際歴がある女性に対し、交際を通じて子どもができたにもかかわらず相手が責任を取ることを拒否した場合は、相手の氏名や地位を明確にして訴え出てほしいと呼びかけた。写真や動画などで交際の証拠を示してもらえれば相手を特定し、事実を暴露するとしている。