トルコ、シリア北東部で軍事攻撃を開始 トランプ氏「悪い考え」
(CNN) トルコは9日、シリア北東部への軍事攻撃を開始し、国境を越えた空爆や砲撃を実施した。数日前にはトランプ米政権が一帯から米軍を撤退させる方針を表明したばかり。
今回の作戦の狙いは、過激派組織「イラク・シリア・ イスラム国(ISIS)」との戦いで米国と協力するクルド人武装勢力をトルコ国境から遠ざけることにある。
トルコのエルドアン大統領はツイッターで作戦開始を発表。「我々の目的は南部国境に定着しつつあるテロの回廊を破壊し、地域に平和をもたらすことだ」とした。
この地域ではシリア民主軍(SDF)が米国の同盟勢力として活動している。SDFを率いるのはクルド人民兵組織「人民防衛隊」(YPG)で、トルコはYPGをテロ組織とみなしている。
シリア北部に空爆や砲撃が相次ぐ中、地上は安全を求めて避難する人々で混乱状態に陥った。道路は逃げ惑う家族で渋滞、バイクには1台に5~6人が乗り、車にはマットレスが取り付けられていた。
SDFのツイートによると、ラス・アルアイン西郊の村で民間人2人が死亡、2人が負傷したという。
SDFはトルコの攻撃への対応に注力するため対ISIS作戦を中断した。SDF報道官は「我々はトルコに国境を越えさせないように闘う。あらゆる可能性を駆使してトルコの侵攻に対抗する」とツイートした。
トランプ米大統領は数日前、シリア北部からの米軍撤退を発表し、与野党から批判を浴びていた。
9日には自身の判断の正当性を強調する一方、米国はトルコの作戦を「支持しない」とも表明。「米国はトルコに対し、この作戦は悪い考えだと明確に伝えてきた」と述べた。