「占領と呼ぶなら難民送り込む」、トルコ大統領がEUに警告 シリア攻撃
(CNN) トルコのエルドアン大統領は10日、首都アンカラで演説し、欧州連合(EU)がシリア北東部での軍事攻撃を「占領」と呼ぶなら、数百万人の難民を送り込むと警告した。
エルドアン氏は演説でEUに「正気に戻れ」と呼び掛け、「もう一度言う。目下の作戦を占領と位置付けようとするなら、我々の仕事は簡単になる。ドアを開けて難民360万人をあなた方のもとに送る」と述べた。
トルコはクルド人主体の部隊をテロリストとみなし、シリア北部の国境地帯から排除する作戦を展開。同地域で活動するシリア民主軍(SDF)は、過激派組織「イラク・シリア・ イスラム国(ISIS)」との戦いで米国の主要な同盟勢力となっていたが、トルコからは敵視されている。トルコは米国と連携するクルド人部隊を同地域から撤退させ、そこにシリア難民約200万人を移住させたい考えだ。
一方、国連のグテーレス事務総長は記者団に対し、トルコ政府から書簡を受け取ったことを明らかにした。書簡は「難民の移動は自主性と安全性、必要性の原則を尊重したものになる」との内容だという。
軍事作戦は10日で2日目に入った。国際的に非難の声が上がっているものの、トルコは作戦成功を主張している。空と陸からのトルコ軍のさらなる攻撃が伝えられる中、赤十字国際委員会(ICRC)はシリア北東部で6万人以上が避難を余儀なくされたと明らかにした。
10日の戦闘激化に伴い、死者数はさらに増加。SDFは作戦開始以来、11人の死者を報告している。この日は民間人少なくとも3人が死亡し、多数の負傷者が出た。
一方、トルコ国防省は同日、作戦を開始してから174人の「テロリスト」を殺害したと発表した。