フランコ総統の棺、掘り起こして別の墓へ スペイン
スペイン・エルパルド(CNN) かつてのスペインで独裁政権を築いたフランシスコ・フランコ総統の棺(ひつぎ)を国の慰霊施設「戦没者の谷」から掘り起こし、妻が眠る別の墓地に移す作業が行われた。この計画をめぐってスペインでは、世論を二分する論議が巻き起こっていた。
フランコ総統は1975年に戦没者の谷に埋葬されていたが、スペイン政府はこのほど、首都マドリード北部のエルパルドにあるミンゴルビオ墓地に棺を移す計画を発表していた。
移設にかかった費用は6万3000ユーロ(約760万円)。暫定政府とフランコ総統の遺族の間では、1年におよぶ法廷闘争が展開されていた。
墓の移設は昨年就任したサンチェス首相の重要公約の1つだった。一方、遺族や極右の支持者らは計画に反対し、遺族が不服を申し立てていたが、訴えは退けられた。
棺が移される墓地の近くに集まったフランコ総統の支持者ら/Jeff J Mitchell/Getty Images
棺の掘り起こしの場には、スペインの司法相や科学捜査の専門家、神父、フランコ総統の子孫22人が立ち会った。
戦没者の谷は、フランコ政権時代の政治犯も貢献して建設され、スペイン内戦の犠牲者が集団で埋葬されている。観光名所にもなり、極右の支持者らが毎年フランコ総統の命日に当たる11月20日に集会を行っていた。
掘り起こされたフランコ総統の棺は遺族6人が運んで霊柩(れいきゅう)車に乗せ、ヘリコプターでエルパルドに輸送された。
1936年からスペインの実権を握ったフランコ総統/Getty Images/File
フランコ総統は1930年代後半から1975年に死亡するまで独裁政権を築き、同政権によって何千人もの処刑が行われた。
スペイン政府は2007年に制定した法律でフランコ政権を公式に非難、戦没者の谷での政治集会を禁止していた。