中国、在香港英総領事館元職員の「自白」ビデオ公開
香港(CNN) 中国国営メディアは21日、今年8月に中国で拘束された在香港英総領事館の元職員の男性が自身の「罪の告白」をしているとする動画を公開した。男性は今週、拘束時に拷問を受け、秘密警察から香港で続くデモについて尋問されたと証言していた。
香港市民のサイモン・チェン氏(28)は8月、中国本土を訪れた際に15日間拘束された。この間、殴打や目隠し、睡眠剥奪(はくだつ)などの拷問を受け、何時間も連続で無理な姿勢を強いられたと主張している。中国側は、治安管理処罰法に違反した疑いでチェン氏を行政拘留したことを確認。国営メディアは、チェン氏が売春婦を求めたことが拘束の理由だったと報じた。
今回公開された動画には、囚人服とみられる衣服を身に着けたチェン氏が質問を受ける様子が映っている。チェン氏は画面の外にいる質問者に向かって、拘束の原因となった出来事について「深い罪の意識を感じる」と語っている。
動画ではこのほか、売春を行っているとみられる施設の監視カメラの映像とともに、チェン氏が同施設を「3週間で3度訪れた」との説明も流れる。ただ、告白する映像の中でチェン氏は売春に直接言及せず、「恥ずかしくて恋人や家族に合わせる顔がない」とだけコメントしている。
20日に英BBCのインタビューに答えたチェン氏は「自分が売春婦を求めたかどうかを問題の中心にしたくない。なぜならそれが中国側の望んでいることだから」「はっきり言っておきたいのは、愛する人たちを悲しませるような行動は一切とらなかったということだ」と語った。
これに対し国営紙の環球時報は21日付の社説で、西側メディアは「売春婦を求めるような人物を政治的な被害者に仕立て上げている」と批判。「チェン氏は作り話をして香港の野党や西側の世論から同情と支持を勝ち取ろうとしている」と述べた。
22日の時点で、チェン氏から動画に関するコメントは得られていない。