イラク首相が辞意表明、反政府デモの拡大受け
イラク・バグダッド(CNN) イラクのアブドルマハディ首相は30日までに、2カ月近く続く反政府デモを受け、辞任する意向を表明した。首相府が声明を発表した。
首都バグダッドの広場には人々が集まり、花火を打ち上げ辞意表明を祝った。一連の反政府デモは10月1日に皮切りに全国に波及。政府の汚職疑惑やイランの内政介入に対する抗議が広がる事態となっている。
アブドルマハディ氏は声明で、議会に辞任の承認を求めると表明。「私の決断が周知の事実となったことを踏また上で、議会に選択肢を検討してほしい」とした。
イラク政府に対しては「イラクの国益のために行動すること、イラク人の血を保つこと、暴力と混乱、破壊の循環に陥るのを避けること」を呼び掛けた。
アブドルマハディ氏は辞任の理由について、イスラム教シーア派の国内最高権威、シスターニ師の説教を受けた判断と説明。シスターニ師が「関係機関は過去2カ月の出来事に対応できていない」と述べたことに言及した。
アブドルマハディ氏は先月31日、後任の人選について合意が成立することを条件に、辞任に同意する考えを示していた。
同国の独立高等人権委員会(IHCHR)によると、今月26~28日にかけて行われたデモでは1000人以上が負傷した。総計ではデモ開始以来の死者数は約380人、負傷者数は1万7745人に上ったという。
当局は夜間外出禁止令を敷き、インターネットを遮断したほか、デモ鎮圧を目的とした実力行使も展開。政府は攻撃を受けた場合のみ発砲するとしているが、デモ隊はこれを否定している。