新型ウイルス、WHOが緊急事態宣言 客船の7千人足止めや国境封鎖も
香港(CNN) 世界保健機関(WHO)は30日にスイスのジュネーブで開いた緊急会合で、新型コロナウイルスの流行について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。
WHOの緊急事態宣言は、新型ウイルスが発生した中国以外の国でも人から人への感染が確認されたことを受けた措置。ドイツなどに続いて米国でも30日、初めて人から人への感染が確認された。
新型ウイルスによる死者は少なくとも213人に上り、中国本土で30日までに確認された症例数は、前日より1982例増えて9692例に達した。感染者数は、2002~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回る。ただし致死率は2%前後にとどまっており、SARSの9.6%に比べるとはるかに低い。
湖北省武漢市で発生した新型ウイルスは、アジア、北米、欧州、中東にまたがる20カ国・地域に拡大。症例数は100例を超え、インドとフィリピンでも新たに感染が確認された。
世界的に不安が広がる中で30日、イタリアではクルーズ船の乗船者7000人が船内で缶詰め状態になり、ロシアは中国との国境閉鎖に踏み切った。
イタリアの首都ローマ北西のチビタベッキア港に停泊している大型クルーズ船「コスタ・スメラルダ」は、乗員1000人を含む7000人が下船できなくなった。
同船を運航するコスタクルーズがCNNに語ったところによると、乗船者の54歳の女性に発熱の症状があり、この女性と夫の2人が新型ウイルス感染確認の検査を受けている。イタリアのANSA通信などは、検査を受けているのは香港から来た夫婦で、現在は同船の診療所内で隔離されていると伝えた。
同船は地中海をめぐるクルーズ船で、スペインのパルマデマヨルカを経て、チビタベッキアに入港した。
イタリア保健省は30日夜、検査の結果は陰性だったと発表した。しかし乗客の下船がいつ許可されるのかは分かっていない。