新型ウイルスを告発した武漢市の医師が死亡、自らも感染 中国
北京(CNN) 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスをめぐり、昨年12月に「SARSのような疾患」を告発していた医師の李文亮氏が7日未明、新型コロナウイルスのため死去した。武漢中央病院が発表した。
発表によると、同病院の眼科医だった李氏は、コロナウイルス流行への対応に当たる中で自身も感染し、同病院で蘇生を試みたが、7日午前2時58分に死亡した。
李氏については6日夜に複数の国営メディアが死亡説を伝え、中国のソーシャルメディアは悲しみや憤りの投稿であふれかえっていた。
李氏は昨年12月、中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」を通じ、武漢市の海産物市場の患者7人がSARSのような疾患と診断され、市内の病院に隔離されているという内容を、医学校の卒業生グループに投稿していた。
しかしこの投稿後間もなく李氏は、うわさをまき散らしたとして武漢警察にとがめられた。
新型ウイルスの発生から数週間で、この疾患について告発しようとした李氏のような医師数人が、警察の捜査対象になっていた。
李氏はその後、自らも新型ウイルスに感染して1月12日に入院し、2月1日に感染が確認された。
同氏の訃報(ふほう)を受けて中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」では、「武漢市は李文亮医師に謝罪すべき」「言論の自由を」などのトレンドが浮上。それぞれ数万人の注目を集めたが、当局が厳重に監視している微博からは間もなく消滅した。
世界で確認された新型コロナウイルスの症例数は、6日現在で2万8275例に上り、うち中国が2万8000例を占める。死者は中国以外の国で死亡した2人を含めて565人になった。