シリアの化学兵器使用、アサド政権が関与と断定 OPCW
(CNN) 化学兵器禁止機関(OPCW)の調査・特定チーム(IIT)は8日、2017年3月下旬にシリアで起きた一連の化学兵器攻撃について、シリア政府軍が関与したと断定した。
米国務省のポンペオ長官は同日発表した声明で、「アサド政権がシリア国民に対する意図的な暴力の一環として、シリアで化学兵器攻撃を使用していることが改めて裏付けられた」としてOPCWの報告書を歓迎。米国もこの結論に同意すると表明し、アサド政権が行った残虐行為は戦争犯罪や人道に対する罪に匹敵すると非難した。
IITは報告書の中で、2017年3月24日と30日にシリアのラタミナでサリン爆弾が使われ、合わせて少なくとも76人に被害が出た攻撃には、シリア・アラブ空軍の部隊が関与したと断定した。
同年3月25日にはシリア・アラブ空軍のヘリコプターがラタミナの病院にシリンダーを投下して塩素を放出させ、少なくとも30人が被害に遭ったと報告している。
シリア政権軍が関与したと断定した理由については、「このように戦略的な性質の攻撃は、シリア・アラブ共和国軍司令部の上層からの命令を根拠としない限り、実行できない」とした。
トランプ米政権は2017年4月にシリアを空爆し、2018年4月にはフランスおよび英国との共同作戦の一環として再び空爆を行った。いずれも化学兵器攻撃に対する報復と位置付け、アサド政権が再び国民に対して化学兵器を使用すれば対抗措置を講じると通告している。国務省高官は8日もこの通告を繰り返した。
国連のグテーレス事務総長はIITの報告書に関連して、「化学兵器の使用は何者であれ、どんな場所であれ、容認できない。それを使用した責任を免れることも同様に容認できない」との声明を発表した。ただ、アサド政権への言及は避けている。