少年が自宅で流れ弾に当たり死亡、外出取り締まりの警官が発砲か ケニア
ケニア・ナイロビ(CNN) 新型コロナウイルス対策のため夜間外出禁止令が出されているケニアの首都ナイロビで、自宅のバルコニーにいた13歳の少年が、警察の流れ弾に当たって死亡する事件が起きた。国民は感染拡大の不安と同時に、警察の過剰な武力行使に対する不安を強めている。
ヤシン・フセイン・モヨ君(13)は3月30日、母や姉妹と一緒に集合住宅の自宅バルコニーで警察がパトロールする様子を眺めていたところ、腹部を銃弾が直撃した。
父親によると、ヤシン君は近所の住民の車でナイロビ市内の病院に運ばれたが、銃弾によるけがのために死亡した。父親は、地元の警察に責任があると訴えている。
ケニアでは新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるため、3月27日から全土に夜間外出禁止令が出されていた。同国ではこれまでに新型ウイルスのため14人が死亡している。
ヤシン・フセイン・モヨ君/Yussef Moyo
しかし人権団体のアムネスティ・インターナショナルによれば、夜間外出禁止が始まって以来、警察によって殺害された人は16人に上る。ケニア支部代表は、「過剰な武力の行使が、ただでさえ不安を感じている市民の恐怖をあおっている」と話す。
沿岸部のモンバサでは、夜間外出禁止令が出された初日、警官が催涙ガスを噴射したり、暴力を振るったり、大勢の市民を密集させて強制的に横たわらせたりする様子を現地のメディアが伝えた。
ケニア警察はヤシン君が死亡した経緯について調査すると表明。ケニヤッタ大統領は警察による過剰な武力の行使について謝罪した。
国家警察の広報は、ヤシン君が流れ弾に当たったことは確認したが、捜査は今も続いていると述べ、警察の過剰な武力行使についての質問には答えなかった。
1カ月たった今も、ヤシン君の家族の苦しみは続く。母親によると、ヤシン君の3歳の弟は、自分も警官に撃たれるかもしれないという恐怖に駆られているという。