レバノン通貨70%急落、全土で抗議デモ激化
レバノン・ベイルート(CNN) レバノンで通貨の急落が続く中、首都ベイルートなど複数の大都市で11日、反政府デモが激化した。
首都ベイルートでは、デモ隊が軍の部隊に対して石を投げつけたり、首相府前の防護柵をよじ登ろうとしたりした。経済を急激に悪化させた責任は政治エリートにあるとして、抗議の声を上げている。
首都の北部と南部では、デモ隊がタイヤを燃やして湾岸の幹線道路を封鎖した。イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とする首都南部の地域など、めったにデモが起こらない地域でも抗議デモが展開された。
北部の都市トリポリでは、デモ隊が軍を狙って石を投げたり、市の中央銀行のオフィスに火炎瓶を投げつけたりした。南部のサイダやナバティフでも抗議デモが勃発した。
レバノンの通貨はここ数日で急落しており、10月以来、約70%下落した。必需品を輸出に頼る同国の通貨急落はパニック状態を引き起こし、この数カ月の間に食料品価格は急騰、大量解雇や事業閉鎖が相次いでいる。世銀の予想では、2020年のレバノンの貧困率はほぼ50%に達する見通し。
レバノンのハッサン・ディアブ首相率いる政権は、発足からまだ100日ほどしかたっていない。デモ参加者は、政府が経済対策を怠っていると非難する。
レバノンでは昨年10月、腐敗に対する抗議デモが全土に広がって、当時のハリリ首相が辞任に追い込まれた。その後も生活状態の急激な悪化や腐敗の蔓延に抗議するデモが各地で続いていた。
元大学教授のディアブ首相は昨年12月、ヒズボラが支持する連立政権の首相に指名された。1月に発足した内閣は大胆な改革を打ち出したが、ほとんど実行できていないと批判されている。