レバノン政権が退陣、ベイルートの大規模爆発受け
(CNN) レバノンのディアブ首相は10日夜、首都ベイルートで起きた大規模爆発を受け、政権退陣を表明した。1週間足らず前に起きた爆発では160人以上が死亡し、これをきっかけに数日間にわたりデモが続いていた。
ディアブ氏は国民向けの演説で、自身と内閣の辞職を表明。「国家よりも巨大な汚職体制」をつくり出したとして、レバノンを支配する政治エリート層を強く批判した。「我が内閣は勇敢に威厳をもって闘ってきた」としつつ、「我々の変化を妨げる大きく強力な障壁が存在する」と述べた。
ディアブ氏はまた、4日の爆発を「国を揺るがした地震」にたとえ、これがきっかけとなって政権退陣に至ったと説明。「国民と共に立つことを決断した」と述べた。
レバノンでは今回の発表に先立ち、すでに閣僚3人と議員7人が辞職していた。
10日夕に予定されていた演説を前に、首相官邸前では激しいデモが発生。デモ隊は石や花火、火炎瓶を投げつけ、治安部隊の側では催涙ガスで応戦した。
レバノンは爆発前から既に数十年で最悪の経済危機に見舞われており、新型コロナの感染率も上昇していた。レバノン政府に対しては汚職や重大な失政を非難する声が出ている。
4日の爆発では、首都ベイルートの大部分が損壊。原因として爆発の可能性のある化学物質が長年放置されていたことが指摘されており、多くの市民にとって我慢が限界に達した形となった。
改革派を自任するディアブ氏は昨年12月、市民の蜂起で前政権が倒れたことを受け、首相に就任した。同氏の政権は専門家集団で構成され、イランが支援するイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラを含め、主要な政党の支持を受けていた。