ベイルートで反政府デモ、複数の省庁占拠 治安部隊と衝突
レバノン・ベイルート(CNN) レバノンの首都ベイルートで8日、多数の死傷者を出した大爆発をめぐって政府の責任を追及する大規模なデモがあった。参加者らは複数の省庁を占拠し、治安部隊と衝突した。
政権打倒を訴えるデモ隊は、まず外務省ビルを占拠して「革命の本拠地」にすると宣言。続いて環境省と経済省を占拠し、金融危機の責任を問われる銀行協会のビルに火をつけた。
昨年10月に全国で起きた反政府デモ以来、最大規模の抗議行動となった。ディアブ首相はデモ発生から数時間後、前倒し選挙の実施を表明した。
市中心部の殉教者広場には同日午後、政権高官らへの「報復」を求めて数万人が集結した。デモ隊の一部は暴徒化して治安部隊に石や爆竹を投げ付け、治安部隊は催涙ガスやゴム弾で排除を図った。
レバノン赤十字によると、この日の衝突で治安部隊員1人が死亡。デモ参加者200人以上が負傷し、そのうち63人が病院へ運ばれた。負傷者の中には報道関係者数人も含まれているという。
議会内部へ入るために壁を壊そうとするデモ参加者/Diego Ibarra Sánchez for CNN
デモ隊はさらに「審判の日」と称して絞首台を設け、ハリリ前首相やイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師の人形をつるした。
ベイルート県のアブード知事はCNNとのインタビューで、炎上するビルに消防車を送り込めばデモ隊の標的になる恐れがあるとする一方で、警察や消防を派遣しないわけにはいかないと語った。
ベイルートの米大使館は8日夜のツイートで、平和的な抗議行動の権利を支持すると述べ、関係者に暴力の自重を呼び掛けた。
ベイルートの港湾地区で4日に起きた大爆発では、少なくとも154人が死亡し、数十人が依然として行方不明。負傷者は5000人を超えている。