ロシア反体制派ナバリヌイ氏、「毒盛られた」と独病院
ベルリン(CNN) ロシア国内を飛行機で移動中に意識不明の重体となった同国の反体制派指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏について、移送先の独ベルリンの病院は24日、毒を盛られたことを示す検査結果が出たことを明らかにした。
ナバリヌイ氏の広報担当者は20日、シベリアのトムスクからモスクワに向かう機内で同氏が体調不良を訴え、昏睡(こんすい)状態に陥ったと発表。ロシアの医師団が治療に当たった後、同氏は22日にベルリンの病院へ移送されていた。
同病院は声明で、ナバリヌイ氏がコリンエストラーゼ阻害薬に分類される薬物によって中毒症状を起こしていると述べた。現在は集中治療室(ICU)で人工的な昏睡措置を施されており、「健康状態で予断を許さないものの、今のところ命の危険が差し迫った状況にはない」という。
ナバリヌイ氏が摂取した毒の種類は、現時点で特定していないとした。
コリンエストラーゼ阻害薬は認知症の治療に広く使用されている。また殺虫剤のほか、サリンやノビチョクといった化学兵器として用いる神経剤にも含まれている。ノビチョクは2018年、英イングランドで発生したロシアの元スパイの襲撃に使われた。 コリンエストラーゼ阻害薬を摂取すると心拍数が下がり、脳にも害が及ぶとされる。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は24日、声明でナバリヌイ氏の命を狙ったと思われる上記の毒物使用を非難。ロシア当局に対し、独立した透明性のある捜査を直ちに開始することが必須だとの見解を示した。