イスラム諸国に広がる仏製品ボイコット マクロン大統領の発言めぐり
(CNN) パリ近郊で歴史教師が殺害された事件をめぐるマクロン仏大統領の発言をきっかけに、イスラム諸国で仏製品の不買運動が広がっている。
問題になっているのは、マクロン氏が先週、事件の被害者サミュエル・パティさんの追悼式で演説した内容だ。
パティさんは授業の教材にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を使っていた。容疑者は警察に射殺される前、預言者を侮辱したパティさんを処刑したとツイートした。風刺画はかつて週刊紙「シャルリー・エブド」に掲載され、2015年の同紙襲撃事件のきっかけになった経緯がある。
マクロン氏は追悼式で、フランスは今後も風刺画を含む表現の自由を守り続けると宣言。イスラム過激派への取り締まり強化を誓った。
これに対し、国内外で「反イスラム的」との反発が広がった。トルコのエルドアン大統領は26日の演説で仏製品の不買を呼び掛け、「欧州首脳らはマクロンとかれの憎悪運動を制止するべきだ」と訴えた。
フランス製品の不買運動を受けて一部が空になった棚=24日、クウェート/Jaber Abdulkhaleg/Anadolu Agency/Getty Images
ヨルダン外相、パキスタン首相、イラン外務省も相次いでフランスへの非難声明を出した。
クウェートでは民間の大型スーパーチェーンが50店舗以上で仏製品をボイコットすると表明。ヨルダンでも一部の食料品店が仏製品を扱わないとの看板を掲げた。カタールで50余りの店舗を展開するスーパーチェーンも同じく不買を宣言し、カタール大学はフランス文化週間の無期限延期を発表した。
一方でドイツのメルケル首相がエルドアン氏を非難する声明を出したほか、ギリシャとオーストリアの首脳もマクロン氏への支持を表明している。
仏外務省は25日の声明で、「不当」な不買運動をただちに中止するよう要求した。