デモ続くミャンマー、軍が取り締まり強化 「民主主義の崩壊」を警告
(CNN) ミャンマー各地で軍事クーデターへの抗議デモが続き、国軍が取り締まりを強化している。
ミャンマー国軍は国営テレビを通し、このままでは「民主主義が崩壊しかねない」と主張。「国家の安定と市民の安全、法の支配」に反する者に対しては法的手段を取ると警告した。
首都ネピドーや最大都市ヤンゴンなど大都市の多くでは国軍の命令により、午後8時から午前4時までの外出や5人を超える集会、徒歩や車でのデモ参加、公共の場での演説が禁止された。
違反者は「違法な集会」を禁じた刑法で裁かれる。この法律は過去にも、合法的な抗議行動を力で抑え込む口実に使われてきた。
首都ネピドーでは9日、数千人規模のデモが連続4日目を迎えた。機動隊は8日に続いてデモ隊に放水銃を使い、スピーカーを通して「退去しなければ実力を行使する」と警告した。
クーデターに抗議するデモ隊に放水する警察車両=8日/STR/AFP/Getty Images
警察がデモ隊に対し、幹線道路上の警戒線を越えた者には実弾で対応すると通告したことを受けて、参加者らは解散した。
最大都市ヤンゴンでは8日、過去にも反政府デモの拠点となった中心部の仏塔「スーレーパゴダ」に向かってデモ隊が行進した。学生団体が主導するデモに教師や技術者らが加わり、寺院の前では仏教僧が手を振って支持を表明した。
国軍のミンアウンフライン最高司令官は8日、クーデター後初のテレビ演説で、市民に「感情でなく事実」を優先するよう呼び掛けた。そのうえで、「自由で公正」な選挙を実施し、勝者に政権を移譲すると約束した。
選挙の時期は言明しなかったが、昨年11月の総選挙に不正があったとの主張を繰り返し、国軍が権力を掌握したのは選管がパンデミックを理由に公正な選挙運動を阻止したからだと説明した。
市内を行進するデモ隊=8日、ミャンマー最大都市ヤンゴン/Stringer/Getty Images
米国務省は国軍による集会制限に懸念を示し、平和的なデモを支持すると述べた。
国連の報道官は、国軍がインターネットへの接続を繰り返し遮断していることなどを非難した。
国連人権理事会は12日に特別会合を開き、ミャンマー情勢について協議する。