ブラジル大都市、死者数が出生数を上回る 新型コロナが猛威
(CNN) 南米ブラジルの大都市リオデジャネイロでは6カ月連続で死者数が出生数を上回っており、新型コロナウイルスの絶え間ない危機による厳しい状況を示している。
国のデータベース「シビル・レジスター」によれば、3月にリオデジャネイロで記録された死者数は3万6437人と出生数の3万2060人を上回った。これはリオデジャネイロだけの出来事ではない。人口が50万人を超える都市のうち少なくとも10都市でも3月に登録された死者数が出生数を上回った。
ブラジル全土の都市が最近の新型コロナウイルスの流行で打撃を受けている。より感染力が強いとみられる変異ウイルスや、一部のブラジル人が社会的距離の確保といった予防措置を無視していることなどもあり状況が悪化している。死者数と出生数の比率は、連邦当局と地方当局が1年以上にわたって新型コロナウイルスの封じ込めにほとんど失敗しているという国内の危機を示すもう一つの印だ。
米ジョンズ・ホプキンス大学によれば、ブラジルで過去1か月間に新型コロナウイルスによって死亡した人の数は7万7515人で、新規感染件数は200万件を超える。ブラジルでは全27州・直轄区のうち3カ所を除いて集中治療室(ICU)の使用率が80%を超えている。
ブラジルでは、政界での対立や調達の難しさからワクチンの接種も遅れている。保健省によれば、ワクチン接種を終えた人の数は630万人と人口の約3%にとどまる。少なくとも1度のワクチン接種を行った人の数は2110万人だが、少なくとも150万人が2度目の接種のスケジュールで遅れが生じている。
専門家は、新型コロナウイルスの流行を抑止できない限り、新たな変異ウイルスが登場する可能性があると警告している。ブラジルに存在している変異ウイルスに対してはすでに警鐘が鳴らされている。ブラジルで最初に見つかった変異ウイルス「P.1」によって隣国では感染件数が増加しており、フランスは今週に入り、ブラジル発着の航空便について運航の一時停止を行った。