米軍撤退の影響は、アフガン市民に聞く
(CNN) 米国はさながら「書物を閉じる」ように、20年続いたアフガニスタンでの戦争を締めくくろうと考えている。しかし同国からの駐留米軍の撤退は、アフガン市民にとって不確かな新章が幕を開けることを意味するだろう。
バイデン大統領は14日、米軍を9月11日までにアフガニスタンから撤退させ、米国史上最も長期にわたる戦争に終止符を打つ意向を表明した。
アフガニスタンの首都カブールで、米軍撤退のその後について、楽観する声は聞かれなかった。外国の非政府組織(NGO)のメンバーとして市内で働くムハンマド・エドリスさん(31)は、「撤退は我々の利益にならない」と明言。「暴力が発生し、治安は劇的に悪化するだろう。そして再びアフガン人はアフガニスタンを後にし、他国へ亡命するようになる」と予測した。
多くのアフガン人は、反政府勢力タリバーンが米軍不在の中で権力の掌握に近づくのではないかと危惧している。過激思想を持つタリバーンは米国が支持するアフガン政府と戦闘中で、すでに国内農村部の広大な地域を支配下に置く。
タリバーンと政府側は断続的な和平交渉を行っているが、両者の戦闘は今年に入って激化している。
14日に公表された国連の報告書によると、2021年1~3月で死傷した市民の数は、前年同期と比較して29%増加した。犠牲者の大半は政府に反抗する活動によるものだという。