太陽光パネルの供給網、新疆の強制労働に依存か<上> 米エネルギー政策の要に影
一方、中国は新疆の少数派労働者に産業施設への移転を促す「余剰労働力」プログラムの運用について隠していない。中国共産党の説明によると、こうしたプログラムでは労働集約的な産業で働かせる目的で、住民数百万人を新疆農村部の町や農場から、地域および国内全域の工場に組織的に移住させてきた。
中国政府は同プログラムについて、貧困緩和と宗教的過激主義の抑制に必要だと説明。しかし、太陽光パネルに関する報告書をまとめた研究者らは、こうしたプログラムの背後にはもっと暗い真実があると指摘する。
シェフィールドハラム大のマーフィー氏は、「新疆には激しい人種差別が存在することを理解する必要がある」と指摘。「こうした貧困緩和プログラムの基本的な前提は、ウイルグル族は自分では貧困から抜け出せない、あるいは貧困状態の方が良いと思想的に植え付けられ自ら貧困を望んでいるというものだ」と語る。
報告書によると、「労働力移転」プログラムには太陽光パネルの供給業者に安価な労働力を提供するという側面もある。
マーフィー氏とエリマ氏によると、ウイグルの小村の出身者は産業拠点で激しい肉体労働に従事するため、数百キロあるいは数千キロ離れた場所への移住を強いられている。報告書に引用された国営メディアの記事によると、職場に移住させられた後は、成人のカップルが他の労働者と一緒に寮のような宿泊施設に収容されることもある。
エリマ氏は「ウイルグル族の生活はこんなではなかった」「私たちは家や庭を持ち、両親や姉妹と一緒に住んでいた。それが今や突然、ある人は都市に住み、その両親は介護施設で暮らし、子どもたちは別の孤児院にいる状況になった。一体、ここで何が起こっているのか」と訴える。
報告書によると、ウイグル族などの少数民族がこうした仕事を拒否したり離れたりした場合、自らや家族が収容所で拘束される可能性があるという。
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「太陽光パネルの供給網、新疆の強制労働に依存か<下>」は5月29日に公開予定