中国、台山原発周辺の放射線レベルは「平常」と発表 漏洩の報道受け
香港(CNN) 中国政府は15日、米政府が中国広東省にある台山原子力発電所の漏えい報告を受けて評価を行っているとの報道について、同原発周辺の放射線レベルは平常だと発表した。
中国外務省の趙立堅報道官は「原発周辺の放射線環境に異常はない」と記者会見で述べた。
CNNは14日、同原発の運営を支援するフランス企業のフラマトムが米政府に「差し迫った放射性物質の脅威」があると警告したと報道。CNNが入手したフラマトムから米エネルギー省に宛てた書面には、中国の安全規制当局が運転停止を避けようと、原発外部の放射線測定の許容限界値を引き上げたとの情報が含まれていた。
趙氏はこうした報道に対し、台山原発は全ての技術的要件を完全に満たしていると発言。「中国は原子力の安全性を非常に重視していて、国際基準や国内の条件に合致する原子力安全監視システムを確立している」「中国の原発は今日まで良好な運転記録を維持している。環境や公衆衛生に影響を与える事故は発生していない」と述べた。
ただ、趙氏は差し迫った脅威や許容限界値の引き上げなど、フラマトムが米当局に通知した警告内容に関する追加の質問には応じなかった。
台山原発は13日に、同原発や周辺地域の環境に関する数値は現在「平常」との声明をウェブサイトで発表。同原発の2基の原子炉は運転中で、2号機は最近「オーバーホール」を完了して「6月10日に電力網に無事接続した」としている。声明ではオーバーホールを行った理由や方法について言及していない。
情報筋によると、バイデン政権は同原発はまだ「危機レベル」にはないと見ている。
同原発はフランス電力(EDF)が中国の原子力企業、中国広核集団との合弁で運営し、EDFの出資比率は30%。EDFはフラマトムの出資の過半も占めている。
米政府は2019年8月に中国広核集団とその関連会社3社が米国の技術にアクセスすることを禁じた。フラマトムは同原発の問題解決のため、米国の技術支援を共有できるように権利放棄を得ようと米国側に接触していた。