ジョン・リンさんはヤンゴン大学での歴史の研究を断念し、反政府活動に加わった。教室から丘の上の訓練キャンプに居場所を移した現在は、150人の志願兵の物資補給を担当する将校だ。華奢(きゃしゃ)な体格で年齢は22。ジャングルに潜むゲリラのイメージからはほど遠い。
殺されるのが怖くないかというCNNの問いに対し、リンさんは「怖くない。自分の国のために立ち上がっているから」と答えた。両親も彼のことを心配してはおらず、自分がこうした考えに立っていることを誇りに思っているという。
その志は立派かもしれないが、いつ終わりが来るとも知れぬ状況にある。
部隊の本部は、樹脂製のシートと丸太でこしらえたテントだ。中に入ると数十丁のショットガンがずらりと壁に掛けられて大事に保管されているが、本来は鳥を撃つために作られた銃だ。床では暖炉に火が入っている。これで湿気を取り除き、銃がさび付くのを防ぐ。
CNFの幹部は、これらの兵士に対してすぐにライフル銃「AK―47」のような自動火器が供給されると強調する。
「国際的な密輸業者がいて、武器はどこでも手に入る」と同幹部は話すが、どうやってそうした武器のコストを賄うのかについては口を濁す。
「人々が寄付したり、資金を集めたりする。金が問題になるとは思わない」(同幹部)
ミャンマーの武装勢力の多くはこの数十年、密輸に頼っている。とりわけヘロインやメタンフェタミンといった薬物の密輸が反政府活動の資金となる。また彼らが地元住民に依存する期間が長くなるほど、市民は反政府軍による不正利得やみかじめ料の取り立て、課税といった負担を余儀なくされる可能性が高まる。
手製のチェッカーで遊ぶ難民の子どもたち/Sam Kiley/CNN
CNFによれば、同勢力はミャンマー国内にある少数民族の16の武装勢力の一つだ。彼らが期待するのは、こうした武装勢力が手を組んで共通の敵に立ち向かうことだ。すべての勢力を結び付けるのが、「民主主義と連邦主義」という大義となる。
若い市民はこの理想の下に集まっている。民主的な未来が阻害されているとの思いに駆られて、これほどまでに多くの若者が森へ入り、銃を手に取る。しかし今後彼らの戦争がいつまで続くのか、さらにその勝敗についても、反体制派の若者によって左右される部分は少ないかもしれない。むしろかぎを握るのは、彼らと戦うため国軍から派遣される若い兵士や将校の方である可能性がある。
戦闘が早急に終結するかどうかは、「若い将校の反乱」が成功するかどうかにかかっている。その矛先は、2月に政権に返り咲いた将軍たちによる残虐行為と汚職だ。CNFの指導部はこの点を理解している。
「現在そうした働きかけを行っているところだ」と、上記の幹部は明かす。