ミャンマー・キャンプ・ビクトリア(CNN) 大声で勝利の歌を歌いながら靴音を響かせ、新兵の一団がランニングをしている。隊列を組んで走っている訓練キャンプは、ジャングルの中にある。
疑うべくもなく、瞳を輝かせているこの若者たちは1つの理想の下に結束している。それは、ミャンマーの民主主義を抑えつける軍事政権からの解放だ。
そしておそらく、自分たちを待ち受けているであろう陰鬱(いんうつ)な悲劇から身を隠すこともまたできない。
彼らが大挙して押し寄せているキャンプ・ビクトリアは、長年にわたり存続する民族主義武装勢力、チン民族戦線(CNF)の本拠地だ。ミャンマー西部のインド国境付近に位置する。キャンプの指導部は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を理由に訓練の中止を呼び掛けているが、彼らは意に介さない。
彼らの多くは周辺の山岳地帯の出身だが、危険な長旅をへて国内を移動してきた者も少なくない。ミャンマーという国がすでに抗議デモや軍の暴力と圧制で引き裂かれた状態にあるなか、彼らは軍事的な技量を身に着けるべくここへやってきた。
成人に達するかどうかという年齢のこれらの志願兵は、軍事クーデターに反対するデモに参加したことがあると語る。今年2月に起きたこのクーデターにより、彼らの文民政権は崩壊した。その後、軍事政権のデモへの対応で一段と多くの血が流れるようになると、彼らもまた武器を取るに至った。
とはいえ、実際に勝利の歌を歌える望みがあるかと言えば、当面はほぼない。指導部は長期戦になると警告している。
CNFの幹部はCNNに対し、「現状は都市ゲリラ型(の紛争)だが、数カ月のうちに従来型の内戦へと変化するだろう」と述べた。
CNFの軍事部門、チン国民軍(CNA)の基地にいる兵士ら/Sam Kiley/CNN
こうした暗い事実から浮かび上がる見通しは、いかにも起こりそうなことだが、ミャンマーが長期的な紛争状態に陥るというものだ。そこでは勝者が現れず、国は崩壊する。
6月末に公表されたミャンマーにおける新たな内戦についての報告書の中で、多国籍のシンクタンク「国際危機グループ(ICG)」はミャンマー軍を非難。民兵組織への支援を無力化しようと、市民を標的にする戦略を用いているとの見解を示した。
しかし、専門家の一般市民に関する予測もまた厳しいものだった。「今後国家経済が破綻(はたん)し、広範囲の貧困と欠乏とが起これば、民兵組織は地元住民から直接、または彼らの負担によって収入源を確保しようと一段と強い動機を抱くだろう。こうした要因から新興の武装勢力が出現し、これらの地域に根付く公算が大きい。過去数十年にわたる反政府活動の間に何度も見られた動きであり、国内の様々な地域で起きた現象だ」と、上記の報告書は指摘する。