中東・北アフリカでデルタ株急増、「壊滅的」状況を危惧 WHO
アブダビ(CNN) 中東や北アフリカで新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染が拡大し、症例数が急増している。世界保健機関(WHO)は、今後数週間で事態は一層悪化する恐れがあると予測した。
WHO東地中海地域事務局は14日、新型コロナウイルスの症例増加が報告されたリビア、イラン、イラク、チュニジアについて、「危機的状況」が迫っているとの見方を示した。この地域ではパンデミック(世界的大流行)が始まって以来の累計で1100万例以上の症例が報告されている。
大勢の人が集まるイスラム教の祭日「イード・アル・アドハ(犠牲祭)」が今月20日の週から始まれば、「壊滅的な結果」につながりかねないとWHOは危惧する。
アラブ諸国の中でも特にデルタ株が猛威を振るっているチュニジアは、再度のロックダウン(都市封鎖)に入った。チュニジア政府は医療機関が「壊滅的」状況に直面しているとして、アラブ湾岸諸国に支援を要請している。
サウジアラビアはチュニジアに100万回分のワクチンを送ると表明。アラブ首長国連邦(UAE)も50万回分のワクチンを提供している。
WHOによると、チュニジアは現在、新型コロナウイルスによる死亡率が東地中海地域の中でもアフリカ大陸の中でも最も高い。酸素病床の使用率は90%、集中治療室(ICU)の病床使用率は95%に達している。
「デルタ株が広がる中で、8000~9500の症例が毎日報告されている。1週間足らずで死者の数はほぼ倍増し、7月5日の119人から7月8日には189人に増えた」(WHO)
パンデミックが始まって以来、大きな打撃を受け続けてきたイランでは、15日に報告された新規の感染者数が2万3000人を超え、1日当たりの記録をほぼ更新した。1日あたりの平均数は過去4週間でほぼ倍増し、1日当たりの死者数も過去2週間の間に増加している。
イラクは人口の1%未満しかワクチン接種を受けていない状況で、同国保健省によれば、1日当たりの件数は先週の時点でパンデミックが始まって以来最多だった。今週に入って新型コロナウイルス患者を治療している病院で発生した火災では92人以上が死亡し、医療態勢が整わない同国の状況を見せつけた。