中古の医療手袋販売の企業を摘発、CNNの調査報道後 タイ
(CNN) タイの司法当局は31日までに、世界規模の新型コロナウイルス禍で需要が急増していた医療用手袋の輸出で、品質が劣悪で汚れるなどしていた中古の製品を米国の卸売業者に売りつけていたタイの企業を訴追したと発表した。
輸出量は数百万個に達していた。地元警察によると、今回の摘発の発表は、CNNがこの問題を暴露した調査報道をしてから数日後のこととなった。
タイの食品・医薬品行政当局の幹部によると、訴追された企業は同国の規制当局の許可なく医療用備品を製造し、関連の罪名8件に問われている。
同社は複数の米国の企業と、数百万米ドル相当の医療用のニトリル手袋を供給する契約を結んだ。しかし、医療用と装いながら送ったのは低品質のビニール製やラテックス製の品物で、一部は汚れ、はっきりと中古品とわかるものも含まれていたという。
タイ当局はCNN報道を受け、政府の特別委員会を設け、調査を開始。タイ軍の元将校が経営するブランド企業も調査の対象となった。CNNの取材に応じたタイの中央捜査局(CIB)によると、この捜査には米連邦捜査局(FBI)も密接に協力している。
今回訴追された企業を通じて注文した顧客に届いた手袋の一部は、このブランド企業名が記された箱に入れられていたという。
CNNは先に、米マイアミに拠点を置く実業家が訴追された企業に昨年後半、約200万ドル相当の手袋を注文したと報道。到着した製品はブランド企業名のものだった。この実業家は、手袋は再利用されたもので洗浄などしていたが、一部は汚く、血痕が付着したものもあり目を疑ったとも証言していた。
タイの食品・医薬品行政当局の幹部は以前、CNNの取材に品質基準を満たさない手袋の出所は中国、ベトナムやマレーシアの可能性があると指摘。これらを大量に仕入れ、ブランド企業名のものとして荷造りされ、全ての書類を改ざんして第三国へ送られるとも推測した。