旅先で入れた恥ずかしいタトゥー、20年後にカバーアップしてみた
(CNN) ある人々にとって、タトゥーは旅の最高の記念品だ。外国での素晴らしい体験の永遠のシンボル。一つの芸術品であり、それを眺めるたび消えることのない印象を残したあの時間と場所の記憶がよみがえる。思い出の「跡」が、魂だけでなく皮膚にも刻まれているというわけだ。
そうでない人々にとっては、身もだえするほどの黒歴史にほかならない。若かりしあの日、おそらくビーチで少々飲みすぎてしまい、何者かもわからない人間に頼んでつい入れてしまったような代物。奇抜なデザインのそのタトゥーは、残酷な時の流れに逆らえず、すっかり陳腐化している。
残念ながら私は後者だ。私の場合、大きな黒い「トライバル(部族的)」アートのタトゥーを腰のあたりいっぱいに入れていたことがある。尻のすぐ上には1本の矢も描かれ、その先はかなり残念な方を向いていた。申し訳ないが、ここではとてもお見せできない。それほどひどいデザインだった。
当時、私は20代前半で、インドネシアのバリ島に滞在していた。島の北部で新進気鋭の彫り師に出会い、ほとんど何も考えず、ほんの気まぐれからタトゥーを入れることにした。私は、その彫り師のデザインブックを5分間パラパラとめくった後、すぐにあるデザインに決めた。
過去の過ちを消し去る
それから早20年が経過し、私はそのタトゥーが大嫌いになった。長年ビーチやプールではタトゥーを隠そうとするので、着られる水着は限られた。またタトゥーを見るたびに、軽率な決断をしがちだった若かりし日の自分を思い出した。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響でタイのバンコクの自宅に缶詰め状態だった昨年末、ついに我慢の限界に達し、タトゥーの除去を決意した。
一瞬、レーザー除去を検討したが、高額な料金を見て断念し、結局、バンコクのタトゥースタジオ「オール・デイ・タトゥー」の彫り師たちに相談することにした。
オール・デイ・タトゥーは、国際的な衛生規範を厳守し、英語を話す彫り師も多いため、旅行者に人気のタトゥースタジオだ。また同店は、カバーアップ(既存のタトゥーの上に別のタトゥーを施す)でも有名で、オーナーのジャン・ルカ・トネロ氏によると、作業全体の10~15%は過去に入れたタトゥーの修正だという。
「カバーアップを拒否する彫り師やスタジオは多い。実はカバーアップは非常に難易度が高く、彫り師たちも他の彫り師が入れたタトゥーの修正や除去はやりたがらないことが多い」とトネロ氏は言う。
すぐに分かったことだが、黒色の大きなタトゥーのカバーアップは、格好いいデザインを見つけて、それを彫り師に上から張り付けてもらうといった単純な作業ではない。既存のタトゥーの大きさ、線(ライン)の詳細、色など、さまざまな要素を考慮する必要がある。