追加接種も先行 コロナ対策先進国・イスラエルから何を読み取るか
第5波への懸念も
だがイスラエルの例が示すのは、必ずしも明るい見通しばかりではない。同国では9月以降、感染者が減少してはいるが、下げ止まりの傾向もみられる。さらに最近、1人が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」が1を超えたため、感染がまた拡大するとの懸念も指摘されている。
専門家によれば、感染の第5波が始まったという確証はまだない。ただ、ワクチンを2回打ってまだ追加接種を受けていない人が、150万人近く残っていることは確かだ。
当局者らは第5波を阻止しようと、ワクチンを打っていない人や追加接種の対象者に接種を促すと同時に、子どもへの接種も進めている。
保健当局によれば、新たな感染の多くは現在、5~11歳の子どもたちの間で起きている。この年齢層へのワクチン接種は22日から始まった。
イスラエル政府の専門家会議を率いるバリチェル議長は、1日の新規感染者の約50%は11歳未満だと指摘。子どもにワクチンを接種することで、感染拡大の流れが変わるよう期待すると述べた。
専門家らは一方で、たとえワクチン接種が進んでも、屋内の活動が増える冬場は特に、感染対策を徹底するべきだと強調する。感染者が増加に転じたのは、市民の気が緩んでマスク着用などのルールを守らなくなってきたためだという指摘もある。
バリチェル氏は「一発だけで確実に感染拡大を防げる魔法の弾丸などない」としたうえで、マスク着用や屋内イベントの制限、ワクチン証明の活用、追加接種の促進など、さまざまな対策を組み合わせる必要があると語った。