「彼はキエフに向かうと・・・」 不明兵士を探すロシア人、電話する先はウクライナ当局
相談者のこのような見方は例外ではない。CNNに提供された録音のひとつでは、取り乱した様子の妻が泣きながら電話をかけてきた。
ロシア兵の妻である相談者 「もしもし。安否確認の電話はこちらにすればよろしいでしょうか」
オペレーター 「はい。その方の個人情報をお伝え下さい」
(女性が涙声で男性の名前と生年月日をつぶやく)
オペレーター 「ご主人との連絡が途絶えたのはいつですか」
相談者 「だいぶ前です」
オペレーター 「だいぶ前とはどういう意味でしょうか。1カ月前、それとも2カ月前ですか」
相談者 「2カ月以上前です」
ホットラインの説明と個人情報についてのやり取りがあった後、妻はこう続けた。
相談者 「あなたはウクライナ出身ですか」
オペレーター 「はい、ウクライナ出身です」
相談者 「申し訳ない気持ちです。私たちの責任ではないのです……。私は怖いです。彼らがこれを選んだわけではありません」
クリスティナ氏はまた、夫となる人の行方を探す婚約者からも電話を受け取った。「彼女が許しを求めていたのが印象的だった。彼女は繰り返し、『どうか許して下さい。私たちはあなた方を攻撃したくはなかったのです。これは私たちの戦争ではありません。私たちはこんなことしたくありませんでした』と語っていた」
しかし、このホットラインは単に答えを提供する窓口ではなく、ロシア人の反戦感情を高めるためのプロパガンダの道具でもある。戦況は日に日に血みどろの長期戦の様相を呈している。
「この状況がどれだけ続くかは考えないようにしている」とクリスティナ氏。「早く終わってくれることを願うばかりだ。ウクライナで起きていることの真実をより多くの人に伝えることができれば、街頭で抗議の声を上げ、流血を止めるよう求める人も増えるだろう」
空挺(くうてい)部隊の兄弟を探す男性からの電話には、現状が端的に示されていた。「頑張って。文明世界全体があなた方の味方だ。私たちはあなた方を信じている」
これらの電話が何かを示しているとすれば、それはこの戦争がロシアの戦争ではなく、プーチン氏の戦争だということだろう。