集団墓地に民間人150人の遺体か、強まる「戦争犯罪」の声 ウクライナ
ウクライナ・リビウ(CNN) ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊の町ブチャでロシア軍撤退後の3日、教会の集団墓地で家族の遺体を捜す市民らの姿を、現地のCNN取材班が伝えた。ロシア軍が占領下のブチャなどで多数の民間人を殺害したとの情報を受け、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧米諸国は「戦争犯罪」との非難を強めている。
ブチャでは5週間に及ぶ戦闘の末にロシア軍が撤退し、ウクライナ当局が「解放」を宣言した。
CNN取材班が住民らの話として伝えたところによると、市内にある教会の敷地には、戦闘が始まった直後からこれまでに150人の遺体が埋葬された。その多くが同市周辺での戦闘に巻き込まれた民間人だという。
取材班は、墓穴に積み上がった少なくとも12体の遺体収納袋を目撃した。
ブチャの市長は2日、この墓地に最大300人が埋葬されている可能性があると述べた。CNNは遺体の数や身元、国籍を独自に確認できていない。
ブチャでは2日、路上に民間人とみられる遺体が散乱した光景が撮影され、衝撃的な映像が公開されていた。
ゼレンスキー氏は3日の演説で「これを地球上で最後の戦争犯罪にしなければ」と訴え、ロシア兵による犯罪の捜査機関を設置すると表明。占領中の戦争犯罪は5日に国連安全保障理事会でも取り上げられるだろうと述べた。また、ロシアに新たな制裁が科されるのは確実だが、それだけでは不十分だと主張した。
ゼレンスキー氏は同日、米CBSテレビの番組でロシア軍の行為はジェノサイド(集団殺害)かと問われ、「その通り。これはジェノサイドだ」と答えた。