ゼレンスキー氏が安保理演説、ロシアの残虐行為を訴え 安保理の役割問う
(CNN) ウクライナのゼレンスキー大統領は5日、国連安保理で感情のこもった演説を行い、ロシアが「ただ自分たちの快楽のために」無差別に民間人を殺害していると批判した。安保理の権限そのものに疑問を呈する場面もあった。
ゼレンスキー氏は演説の前日、先週末に遺体が路上に散乱する衝撃的な画像が明るみに出た首都キーウ(キエフ)郊外の町ブチャを訪れていた。
ゼレンスキー氏は今回、ロシアがブチャから撤退した後の状況を詳しく語り、家族全員が殺されたケースや、のどをかき切られて死亡した人々、子どもたちの目の前でレイプされ殺害された女性の話をした。ロシアの行動はテロ組織と何ら変わらず、ただロシアが国連安保理の常任理事国である点が違うとも述べた。
続けて安保理への批判を展開し、各国の代表者らに単刀直入に「安保理が保証すべき安全はどこにあるのか」と問いかけた。「侵略に対抗し、平和を確保する目的で設立されたこの重要機関が効果的に機能していないのは明白だ」とも指摘した。
また国連憲章第1章、第1条を思い出してほしいと訴え、「この機関の目的とは何か。それは平和が尊重される状態を維持、確保することだ。いまや国連憲章は第1条から反故(ほご)にされている。そんな状況で残りの条文に何の意味があるのか」と問いかけた。
会合で発言した国連当局者は国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の最新の数字を引用し、ウクライナでは侵攻が始まった2月24日から4月4日までの間に民間人少なくも1480人が死亡、2195人が負傷したと明らかにした。安保理への報告が前回行われた3月17日以降、紛争に巻き込まれた民間人の数は「2倍以上」に増えたという。