偽の「住民投票」を前に住民が多数脱出 ロシア占領下の南部ヘルソン
ウクライナ・クリビーリフ(CNN) ウクライナ南部の地方部では一日中、野原や川を越えて移動する人の流れが絶えず、夜になるとその人数は膨れ上がる。徒歩や自転車、手押し車で移動する人の姿が目立つ。
避難者らはロシアに占領された故郷ヘルソンから脱出しようと必死で、市外に逃れるためなら危険を伴っても、どんな道を通ることもいとわない。
そこから100マイル(約160キロ)あまり離れたゼレンスキー大統領の故郷クリビーリフでは、地元当局者が移動してきた人々を歓迎していた。
ある男性とその息子は、2人の妻で母親だった女性が爆弾で背骨や背中を負傷して死亡したと話す。
比較的安全なこの場所でも、後に残してきた家族がロシアに狙われるかもしれないとの恐怖心から、父子は身元を公表したがらなかった。
「もしロシア人が私たちとわかれば、ヘルソンに残された人を全員射殺するだろう」。息子はCNNにそう語り、「徒歩で川を越えて逃げてきた」と明かした。
クリビーリフに避難した人々が寄付された服を見る/CNN
ヘルソンは戦争開始当初、侵攻するロシア軍によって真っ先に占領された。同市周辺の占領地域ではこの1週間、ロシアによる第2段階の攻勢だけでなく、27日に迫った住民投票に対しても恐れが広がっている。
ウクライナ側はこの投票について、「ヘルソン人民共和国」と呼ばれる新機構への住民の支持を示そうとするロシアの企てだと指摘する。現地では「偽の住民投票」との見方が広がっている。新機構はウクライナ東部ドンバス地方にある同様の機構と似たものになるとみられている(ロシア政府はプーチン大統領が独立を承認した後、これらの自称「共和国」に軍を派遣し、ウクライナでの戦争を開始した)。
地元や国の複数の当局者はCNNに対し、投票は27日に予定されていると語った。