親を失いロシアが情報戦に利用 ウクライナ少女、困難乗り越え祖父と再会
ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、病院を訪れてキラさんに面会し、タブレット端末のiPadをプレゼントした。
オレクサンデルさんはゼレンスキー大統領に感謝の気持ちを伝え、「(再会がかなうとは)誰も信じなかった」とCNNに語った。
キラさんを取り戻すのは簡単ではなかった。メディアでキラさんの窮状が報じられると、ウクライナ政府は、合意に基づきオレクサンデルさんがキラさんを迎えにドネツクを訪問できることになったと告げた。
オレクサンデルさんは直ちに出発した。指示された通り、列車でポーランドに行ってトルコ行きの航空便に搭乗し、便を乗り継いでロシアのモスクワに到着。そこから列車でロシア南部のロストフに向かい、車でドネツクに入って、ついにキラさんと再会した。4日間の行程だった。
何度も固く抱き合った2人は、同じ行程をたどって無事、キエフに戻った。
祖父とともに写真に納まるキラさん。戦争以前に撮影/Courtesy Oleksander Obedinsky
オレクサンデルさんによると、キラさんと再会できたのは23日。3月10日に会って以来だった。ウクライナ政府の助けがなければ、2人とも安全は保証されなかっただろうと話している。
キラさんはドネツク滞在中、ロシア国営メディアのインタビューを受け、祖父と電話ができたとうれしそうに話す様子が放送された。ロシアのテレビ局によると、この映像は、キラさんが拉致されたのではないことを裏付ける「証拠」だった。
しかしキラさん本人が語る状況は大きく異なっていた。CNNの取材に対してキラさんは「ひどい病院だった」と振り返り、「食事はひどかったし、看護師は怒鳴り散らしていた」と語る。
身体に刺さった破片を取り除く処置を受けた時の痛みについては「夜間に救急車でドネツクに搬送され、耳に刺さった破片を夜間に取り除かれた。耳の中で処置されるのを感じて私は悲鳴を上げ、ものすごく泣いた。顔も、首も、両脚も」と振り返った。
ロシア軍に包囲されたマリウポリでの出来事についても証言した。キラさんによると、砲撃が続き、爆発音が鳴り響く中、父の交際相手だった女性の自宅で身を潜めていたという。